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卒業研究:流体工学研究室

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シンセティックジェットの流動特性に及ぼす振動条件の影響について

シンセティックジェットを用いた循環制御翼開発に向けた基礎的研究

多段遠心ファンの高効率化に関する研究

ボルテックスチューブの性能特性に関する基礎研究

シンセティックジェットを用いたジェットポンプ開発における基礎的研究

シンセティックジェットの流動特性に及ぼす振動条件の影響について

竹内亮祐 永田健悟 守泉優 佐々木幸之助(院生)

空気砲で航空機の発展に貢献

 TVで有名なでんじろう先生の空気砲はご存知ですか? この空気砲から出てくる空気によって作られる空気の流れをシンセティックジェットと言います.私達は,この空気砲を航空機の翼やヘリコプターのテール等に搭載することで,性能向上や騒音軽減といった工業(特に航空宇宙工学)の発展に繋げる事を目標として研究を進めています.例えば,旅客機において低速度域(着陸時等)での飛行を可能とさせるフラップという装置がありますが,翼に小型な空気砲を複数搭載しシンセティックジェットを出せばフラップの代わりの役割を果たすために,このような大掛かりな装置は不要になります.
 以上のようにシンセティックジェットの実用化には大きな可能性が秘められていますが,一方で実用化にはまだまだ不明な点が多く存在しているのが現状です.そこで私達は,この空気砲に似た装置を大型スピーカーを用いて再現し,この装置によって発生させたシンセティックジェットという空気の流れがどういったものなのか(流れの速さ等)を実験やコンピュータシミュレーションから調べることによって,シンセティックジェットの不明点の解明を試みています.
 本流体工学研究室には,シンセティックジェットの基礎研究が1テーマ,応用研究が2テーマ(循環型制御翼,ジェットポンプ)あり,私達は基礎研究を担当しシンセティックジェット自体がどのような特性を持つのかという研究をしています. 

航空機やF1,スポーツカーの形状に興味がある方にオススメ

 私は幼い頃から,航空機や車が好きでした.特に年代によって微妙に変化する航空機やフォーミュラカーのデザインには強い興味がありました.これについて調べてみると流体工学の進歩が大きく影響している事が分かり,それ以降将来は流体工学について学びたいという風に考えるようになりました.
 実際に流体工学研究室に入り現テーマを担当することになると,想像以上に航空機やフォーミュラカーとの関わりが深く期待していた以上に満足のできる研究活動をしています.特に,NASAやJAXA,自動車メーカーの方達が似たような研究を進めていて,その方達と間接的ではありますが対等に競い合える所に面白みを感じています.
 研究生活も非常に充実していて,研究仲間達と切磋琢磨しながら日々メリハリを持って生活しています.研究で課題にぶつかった際にはテーマの枠を超えて皆で知識を出し合い助け合ったり,研究以外でも休憩時間にはキャチボールをしたり放課後一緒に飲みに行く等様々な形で交流して楽しんでいます.中には,研究室内で一緒に料理を作ったり,バイク好き同士で休日ツーリングに行ったり,ディズニーランドに行く人達もいて皆和気あいあいとしています.

教員からのひとこと【西部光一先生】

 シンセティックジェットの研究は近年,欧米諸国でも盛んに研究がなされており,小型推進器として航空宇宙分野や医用工学分野などへの応用が期待されています.また,大学院生の佐々木君は実験・数値シミュレーションで得られた結果を纏めて,スウェーデンで開催された国際学会で発表することができました.発表資料を研究室ホームページに載せてありますので,興味がある方はぜひ見てみて下さい.

シンセティックジェットを用いた循環制御翼開発に向けた基礎的研究

西山裕登 樋口幹久 山下優祐 石川優介(院生)

飛行機のフラップに代わる新しい揚力制御装置の開発

 飛行機が飛ぶには揚力が必要です.現在の飛行機には低速で揚力を得るためにフラップと呼ばれる揚力制御装置が設けられおり,安全で短距離の離着陸が可能となっています.近年,フラップに変わる高揚力装置として循環制御翼(CCW : Circular Cylinder Wing)の研究が盛んになっています.CCWとは翼の上面に設けたスロットから高圧の空気を噴出することで強制的に翼周りの流れの向きを変えられる装置です.翼に対して翼まわりの流れの速度が大きいと揚力が発生するので,空気の噴出量を調整することで揚力の制御も可能となるのです.しかしデメリットとして,現在のCCWは空気の噴出にターボ機械を用いるのでシステムの大型化・複雑化に繋がってしまいます.
 そこで私達の研究では,空気流の生成にシンセティックジェットを用いることにしました.シンセティックジェットは噴出・吸引を繰り返すことで生成される空気の流れです.分かりやすい例としてダンボール空気砲を思い浮かべて下さい.ダンボール空気砲は空間内の体積変動により空気の流れが生成されます.シンセティックジェットの生成にはスピーカー,ピエゾ等の往復運動をする装置により生成でき,従来のCCWよりも小型化・軽量化にすることができます.シンセティックジェットを用いたCCWは世界でも研究例が非常に少なく,日々の研究が重要な結果となります.

航空機・ヘリコプターが好きな人は一見の価値ありです

 幼いころより乗り物,特に航空機が大好きでした.流体工学研究室を希望した理由も航空機好きに起因しており,飛行に不可欠な空気の流れを勉強したいと思ったからです.この研究の特色として,世界中でも報告例が非常に少ないため,実験結果の考察・原因解明に頭をフル稼働させることが多いです.しかし,良い結果が得られた時の喜びは至上のものであり,有意義な毎日を過ごしています.また,空気という目に見えないものを扱っているため,計測実験以外にも数値解析や煙による可視化を行い翼周りの空気の流れを視覚的に検証することも多く,流体力学の面白さを存分に味わえる研究です.
 流体工学研究室の雰囲気は和気あいあいとしており,学部生・院生の壁が無く休憩時間にキャッチボールなどのスポーツをしたり,休日に皆で遊んだり飲み会を開催しています.その一方で,研究には真摯に取り組み,非常にメリハリの有る日々を過ごしています.

教員からのひとこと【西部光一先生】

 シンセティックジェットを航空宇宙分野に応用した研究になります.飛行機やヘリコプターの揚力を噴流(ジェット)の力だけでコントロールするという装置の開発です.石川君のリーダーシップで,良いチームワークで研究が大きく進んでいます.航空機の開発に興味がある方には,とっても魅力的なテーマだと思います.石川君も結果を纏めて国際学会で発表予定です.

多段遠心ファンの高効率化に関する研究

小林育樹 向井沙椰 片平渉(院生) 野田和希(院生)

流れ場の解析を通じて新しいファンの開発を目指す

 遠心ファンは家庭向けの換気用の小型な物から,工場の吸排気や空調用の大型の物まで幅広く用いられています.最近ではポンプなど他の流体機械と同様に,遠心ファンの課題にもなっている省エネルギー,省スペース化を乗り越えるために装置の小型化・軽量化が進んでいます.さらに実現できればこれまでに遠心ファンが利用されていない分野での応用が期待されております.その分野の1つに大型化が進むコンピューターサーバーの放熱・冷却が挙げられます.コンピューターサーバーは現在小型化している物が複数重なる状態(高密度化)になっており様々な電子機器・回路が集約しています,なので空気が流れる際に抵抗となってしまうものが存在し,使用していく中で埃等が溜まることでさらに圧力損失となるものが増加していきます.従来では流れる風量は大きいが強く吸い込むことはできない軸流ファンを用いられてきたが,現在ではより強く吸い込むことができる遠心ファンが必要とされています.この研究では遠心ファンの形状を小型のままにし,内部の形状を開発し中型の遠心ファンと同等の性能を持つ新しい小型多段遠心ファンを作り上げることです.
 企業との合同研究のため,授業では学べない設計の大切さや厳しさを学ぶことができます.また設計したものは3Dプリンターの一種である光造形機を用いて作成しております.機械工学の根本でもある「モノづくり」を学ぶこともでき,専門分野である流体工学の学習もできる内容となっております.

『研究と設計開発』 両方の面白さを学べる

 企業と一緒に研究を行うため,学生だけでは得られない多くの刺激を受けることが出来るテーマです.社会人になる前に実際に必要な「モノ」を設計し,製作することで,「モノづくり」の流れを体験的に学ぶことができます.そしてただ設計し実験するだけで終わりではありません.研究として何故そのような結果になるのか,生じている現象について研究班のメンバーや先生と深くディスカッションをし,現象の解明を行います. 皆と意見を交えて研究を進めていくことや煮詰まってしまった後に解決の糸口を見つけたときや,答えを導けたときの達成感は,ここでしか味わえないと思います.
 研究と開発を行うテーマとなっているので前例がないこともあり,自ら考えて進めていくため大変なことも多いですが,その分個人の成長として得られる能力は多くあり,企業に就職する際にも大きく役に立ちます.また,全員が仲の良い研究室です!知識を増やすことや,思考力向上の目的でテーマの枠を超えて論文を読みながら議論しあったりしています.実験をしたり,研究を進めたりと難しそうなイメージもありますが,優しく明るい先輩方が多く和気あいあいと研究を進めています.研究後に皆で食事に行ったり,毎年恒例行事として,皆で旅行をして楽しんだり,研究の合間に流行りのスマートフォンアプリで楽しんだりもする楽しい研究室です!質問等あれば研究室でお待ちしていますので,気兼ねなくいらして下さいね!

教員からのひとこと【西部光一先生】

 国内のファンモーター企業と産学連携で取組んでいるテーマです.研究を通じて,普遍的・基礎的な知見を得るだけでなく,実際に製品化していく際に重要な設計・開発にも大学にいながら挑戦しています.企業において第一線で活躍されている現役のエンジニアと共同で進めることで,仕事で必要な知識やプレゼン能力が身についているように感じます.片平君も,得られた結果を国際学会で発表予定です.

ボルテックスチューブの性能特性に関する基礎研究

山田純一郎 望月翔太(院生)

ボルテックスチューブの温度分離のメカニズムの解明

 ボルテックスチューブ(以下VT : Vortex Tube)は常温の高圧気体を二つの気流に分離抽出する装置として発見されて以来広く研究が行われてきました.VTは通常直円管で作ったうず室,その一端の円周状に設けた接線ノズル,他端に取り付けた円錐型の流量比調整弁,及びノズルに接近してうず室に取り付けた低温気体抽出用の開口部とから構成されています(写真参照).圧縮気体をノズルからうず室内に噴出させると管壁に沿う高速旋回流が形成されます.このとき壁面側の旋回流は高温気流となり,うず室中心部には逆流が生じ低温気流となり,うず室外へそれぞれ流出します.可動部分を持たないシンプルな構造であり,簡単な操作で低温気流の温度を広範かつ連続的に得られる特徴があり,切削加工時における刃物及び被加工物の冷却などに数多く用いられ,これまでの研究では幾何形状が温度分離に及ぼす影響について明らかになっています.
 しかしながら,温度分離のメカニズムに関しては未だ不明な点が数多く残されており,この不明点を解決することでより高性能なボルテックスチューブの開発を目指しています.具体的には,私たちは流体の運動に関する方程式をコンピュータで解くことで流れの挙動を観察する数値シミュレーションと実験の両面から流れ場と温度場について調べています.

常温空気の旋回運動のみで高温・低温の空気に分離

 私の流体工学に対する第一印象は空気や水が透明であることに代表されるように多くの流体は 目に見えず,また自由に変形できることからつかみ所がなく,わかりにくいとのものでした.しかし,学部2年次から学んだ流れ学や流体力学を通して,不思議な現象や予測の及ばない振る舞いをする流体の挙動を物理学や工学などのアプローチにより仕組みを理解していく中で,流体力学という分野に魅力を感じ科学技術の応用に大きな魅力を感じるようになりました.私の研究テーマであるボルテックスチューブは旋回を伴う非常に高速な流れを有するため複雑であり,未知の部分が多いです.そのために思うように結果が出ないことも多々あります.しかし,数値解析や計測実験によってメカニズム解明に近づく新たな発見をした際は何ものにも代え難い喜びを感じることが出来ます.

教員からのひとこと【大上浩先生】

 ボルテックスチューブは既に実用化されていますが,未だ不明な点が多く残されています.近年,急激に発展している数値シミュレーションをフル活用して,流れを可視化して不明点の解明を通じて,ボルテックスチューブの性能向上や全く新しい応用例を提案できればと考えています.チームリーダーの望月君を筆頭に,苦しみながらも明るく前向きに研究に取り組んでいます.望月君も,結果を纏めて国内学会で発表予定です.

シンセティックジェットを用いたジェットポンプ開発における基礎的研究

石橋樹 久山尚哉 野村陽平(院生)

世界を安全に,快適にするポンプを目指して

 ジェットポンプとは周囲の空気および水などの流体を巻き込みながら噴出するポンプのことを言います.シンセティックジェットとは分かりやすくいうと呼吸と同じ原理で周りから吸引し,真っ直ぐ噴出することを繰り返すことで形成される流れのことです.近年もちいられているポンプは羽根車を搭載したターボ型が主流ですが,構成部品が多く装置全体が大きくなってしまいます.そこで,構成部品が少ないシンセティックジェットを駆動源とすることで,システムの小型化が見込める点に注目しました.(シンセティックジェットの詳細は他テーマを参照下さい)そこで,シンセティックジェットを用いたポンプが,従来の遠心ファンポンプより性能を向上させることを目指して,積極的に実験および数値シミュレーション(CFD : Computational Fluid Dynamics)解析に取り組んでいます.具体的には,どれだけの空気の量を噴出した時に効率の良いポンプとなるのか等に着目しています.実用化としては,小型化のメリットを生かし薬品輸送などの使用を目標としています.一つの目標に向かって一生懸命頑張れる前向きな皆さんは是非いつでも訪問してください.研究室一同心待ちにしております.

普段見ることのない流れの可視化って楽しいです

 流体工学研究室では,研究室名の通り“流体”に関する研究を行っています.私たちのシンセティックジェットポンプに関する研究では,数値シミュレーションを積極的に実施して,流れ場の見える化を行っています.数値シミュレーションの結果(写真参照)は速度や圧力などの大きさが色別に表示され,実験では観察することが難しい流体の運動をより具体的に観察しています.また,実験では常に頭を働かせながら,研究を行うことに魅力を感じています.テーマが一緒の仲間や研究室の仲間とそれぞれの目標に向かって切磋琢磨することが出来る環境です.また飲み会や旅行などのイベント事も充実していてONとOFFがはっきりした研究室であり,楽しいです.ときには進路等について,朝まで熱く語り合ったり,実験についての助言を出し合うことでゴールへと進んでいます.ここまでで分かって頂けた通り,楽しく和気あいあいと過ごしつつ,テーマ自体は実用性があり生活に直結するものなのでやりがいがあり楽しいです.そして今,流体ってよくわかんないって思ったそこのあなた!私もそうでした.しかし,流体の運動がわからなければ,飛行機やエアコンもこの世になかったかもしれません.飛行機はなぜ飛ぶのか,羽根のない扇風機はなぜ風が来るのかのような疑問を持っている皆さん,答えはここ流体研あります.ぜひ気軽に訪問してもらえればと思います.

教員からのひとこと【西部光一先生】

 シンセティックジェットを薬品や血液の輸送など,プラント産業用や医療用ポンプの駆動源として応用するための研究です.この分野への応用例は少なく,分からない部分が多く大変な部分もありますが,野村君を中心に積極的に研究に取り組んでくれています.その結果,国内学会で発表することができました.ポンプやコンプレッサー,身の回りですとエアコンや扇風機などの流体機械に興味がある方には魅力的なテーマだと思います.

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